ArchLinuxは組込み用Linuxとして絶大なる人気をほこります。色々な家電製品のなかで動いているのが実はArchだったということも多いです。そんなArchですが、CuBox-iのコラムではまだとりあげていませんでした。これからソフトの互換性のあるHummingBoard シリーズでも利用される機会が多くなることも予想されるのでここで整理しておきましょう。
実は、Solidrun社WiKiページのArchLinuxのページの情報では一部が足りていなかったため、ArchLinuxにLXDEデスクトップをインストールされた方は、LXDEを立ち上げた瞬間にコンソール状態では使えていたキーボードやマウスが動かなくなった、という経験をされた方もいらっしゃると思います。2014年11月16日時点では追記の記述が足されており、その追加された部分が実は前述の問題の「解決策」にもなっています。それでは、オフィシャルページhttp://www.solid-run.com/wiki/ArchLinux
をもとにArchLinuxの環境を整備してみます。
インストール
1. ArchLinux rootfsのイメージをダウンロードしてきます
http://archlinuxarm.org/os/ArchLinuxARM-imx6-cubox-latest.tar.gz
続いてインストーラースクリプトをダウンロードします。
https://www.dropbox.com/s/e0my9z0tq644wam/make-sdcard
2. SDカードをPCへ挿入して書き込みをします
$ chmod +x make-sdcard
$ ./make-sdcard
<location-of-your-SDcard> ArchLinuxARM-imx6-cubox-latest.tar.gz |
*<location-of-your-SDcard>はmountなどでSDがどこにマウントサれているかを確認する。/deb/sdb1 /deb/sdb3 などであれば、ここでは/deb/sdb とします。
できたSDをCuBox-i/HummingBoardpに挿入して立ち上げます。シリアル接続されたコンソールもしくはHDMI接続された画面を使うことができます。ログインプロンプトが表示されたら準備完了。
なお、(1)(2)については、”ignition” を使ってインストールすることができます。ignitionについては、コラムの(16) CuBox-i/HummingBoardの簡単インストーラー Ignition が登場 http://goo.gl/Sm0hJK を参照ください。ignitionでの書き込みの場合だと約7分程度でした。
3. SDカードをCuBox-i/HBへ挿入して立ち上げます。(ignitionを使った場合はリブートをします)
CuBox-i/HummingBoard上でroot (password=root)でログインします。次のコマンドで最新にするためにアップデートをかけます。
$ pacman -Syu |
ここまでで、ArchLinuxのインストールは終了です。デスクトップは不要であれば、ターミナル接続の設定をしてあとの作業はターミナル経由で操作します。
4. X-サーバとデスクトップXfceのインストール
今回はデスクトップのLXDEをインストールしてデスクトップマシンにします。xorgおよびxfce4のパッケージをインストールします。
トをかけます。
# pacman -S xfce4 xf86-video-fbdev xorg-xinit gpu-viv-bin-mx6q-fb
# pacman -S xorg-server xorg-server-utils xorg-apps |
続いてシンボリックリンクをはっておきます。
# ln -sf /opt/fsl/lib/libGL.so /usr/lib/libGL.so.1 |
5. ディスプレイマネージャLightDMのインストール
今回はディスプレイマネージャLightDMを使って、ブート時に自動的にXfceを起動させるようにしたいと思います。そこで、パッケージlightdm, lightdm-gtk-greeterをインストールします。
# pacman -S
lightdm lightdm-gtk-greeter |
このとき
:: There are 2 providers available for lightdm-gtk-greeter: :: Repository community 1) lightdm-gtk2-greeter 2) lightdm-gtk3-greeter
Enter a number (default=1): |
と表示されたら、2と入力してみてください。(実は好みで1,2のどちらでも構わないのですが。)
---------------------
今回はディスプレイマネージャとしてLightDMを使用しましたが、他にどんなディスプレイマネージャを使えるかは、「Archlinux Display Manager (日本語)」を参照してください。また、Xfceを自動起動する方法はこれだけではありません」。別の方法で自動起動する方法として、WiKiで紹介されている方法でブート時に自動的にXfceを起動する方法を紹介しておきます。
/home/alarm/.xinitrc
に次の1行をつけ加えます。
exec dbus-launch startlxde
の最下行に追加します。
LXDEを走らせるには startxとコマンドを入れます。LXDEデスクトップから立ち上がるように設定をするには次のようにしておきます。
/home/alarm/.bash_profile
の最下行にこの1行を追加します。
[[ -z $DISPLAY && $XDG_VTNR -eq 1 ]] && exec startx
さらに、先に作ったアカウントalarmで自動ログインするようにしておには、
mkdir /etc/systemd/system/getty@tty1.service.d エディタを使ってautologin.conf を作ります。
/etc/systemd/system/getty@tty1.service.d/autologin.conf
このファイルに以下を書き込みます。
[Service] ExecStart= ExecStart=-/usr/bin/agetty --autologin alarm --noclear %I 38400 Linux
---------------------
6. 日本語キーボードの設定
/etc/X11/xorg.conf.d/10-keyboard.conf ファイルをテキストエディタで作成して、下のような内容にします。
Section "InputClass"
Identifier "system-keyboard"
MatchIsKeyboard "on"
Option "XkbLayout" "jp"
Option "XkbModel" "pc105"
Option "XkbVariant" ""
Option "XkbOptions" ""
EndSection
7. LightDMでログインするユーザの作成
LightDMでログインする際は、root以外のユーザ名を使う必要があります。
そこで、新しいユーザを作成します。例えば、alarm というユーザ名、およびalarm というグループを作成するものとします。
# groupadd alarm # useradd -m -d /home/alarm -g alarm alarm # usermod -a -G alarm,audio,video,power,network,optical,storage,disk alarm # passwd alarm (alarmのパスワードを入力します。) |
8. lightdm.service デーモン有効化
LightDMを選択した場合には、ブート時にLightDMが自動的に起動するようにlightdm.service デーモンを有効にしておきます。
# systemctl enable lightdm.service
9. ディスプレイ解像度の変更
これで、リブートすればLightDMが自動的に起動し、ログインするとXfceが起動するようになりました。
ですが、初期値ではディスプレイ・サイズが1280×720になっています。そこで、1920×1080に変更することにしましょう。 /boot/uEnv.txtをテキストエディタで以下のように修正してください。
mmcargs=setenv bootargs root=/dev/mmcblk0p1 rootwait rw console=tty1 console=ttymxc0,115200 consoleblank=0 video=mxcfb0:dev=hdmi,1920x1080M@60,if=RGB24,bpp=16 dmfc=3 ahci_imx.hotplug=1 pci=nomsi loop.max_part=15
10. 音声をHDMIから出力するように設定しておくには
/etc/asound.conf (全ユーザー) または ~/.asoundrc (該当ユーザー)
に以下を書き込んでおきます。
pcm.!default { type plug slave { pcm "hw:1,0" } } ctl.!default { type hw card 1 }
11. インターネット・ブラウザ
ここまで作業をしてきても、LXDEが立ち上がったところでがっかりする方もいらっしゃると思います。UBUNTUのように揃っていません。ブラウザもインストールされていません。
まずはChromiumブラウザをインストールしてみましょう。
# pacman -S chromium
このとき
resolving dependencies...
:: There are 8 providers available for ttf-font:
:: Repository extra
1) ttf-bitstream-vera 2) ttf-dejavu 3) ttf-freefont
4) ttf-linux-libertine 5) ttf-oxygen
:: Repository community
6) ttf-droid 7) ttf-liberation 8) ttf-ubuntu-font-family
Enter a number (default=1):
と表示されたら、1と入力してください。
これで、とりあえずの設定は全て終了です。
インストール後のセットアップについては、ArchLinuxのWiKiを参照するのが一番です。
https://wiki.archlinux.org/index.php/Beginners%27_guide
ArchのアプリケーションについてはここのWiKiがいいスタート地点になります。万能だと言われることがすぐ理解できます。1つづつは小さなアプリモジュールも、組み合わせることで自分のやりたかったものができあがる楽しみは他のどのディストリビューションよりも優れています。最終的に自分でプログラムするとしても非常に参考になります。お楽しみください。
https://wiki.archlinux.org/index.php/List_of_applications
コメントをお書きください