ミュージックサーバーとして用いるマシンは小型で静か、しかもCPUパワーも必要、メモリも音飛びなどがおこらないためにはかなりの容量が要求される。ネットワーク経由でミュージックデータへアクセスができること、USB経由でDSDやFlac対応のDACへ接続できること、などの要件が必要となります。ハードウェアに合わせて、対応するソフトウェアもまた必要となります。
CuBox/CuBox-iはその要件を満たし、VoyageMuboxとの組合せは一つの完成形ともなった感があります。それでも、他にも解がないわけではありません。
今回のお題は、VOLUMIOというミュージックプレーヤーを試すことです。見たところはMuBoxと比べても見劣りしません。早速試してみましょう。
このコラムでは以前CuBoxでVoyageMuBoxを取り上げています。今回はCuBox-iでのレビューとします。(なお、VOLUMIOはCuBoxでも全く同等に動作しています) 2014年の2月18日にCuBox-iに対応されました。http://volumio.org/volumio-cubox-i-released/
VOLUMIOはフリーソフトで、もともとはRapsberryPi向けに開発されたものです。その後CuBox, UDOO, BegleBoneプラットフォーム用のビルドが作られています。CuBox以外は皆ボード製品です。
プロジェクトでは、基本に忠実、高品質オーディオの再生にすべて注力しており、それ以上でもそれ以下でもないと自らを評しています。使い勝手は、Webインタフェース経由で曲を再生するのはとても容易になっている。スマホのブラウザからもとても使い勝手がよいようにUI部品が設置されている。できのいいMPDクライアントと比較すると機能的に劣るかもしれないが、実用的には何ら問題ない。ハイレゾファイル、MP3、Webラジオ、ストリーミングサービスに対応している。
OS自体はGUIも除いた最小限が組込まれ、音楽が、ジッターが少なく正しく再生されることに集中できるように配慮されている。
RapsberryPiとの直接の聴き比べをしていないが、CuBox-i4Proでは4コアの実力が勝るのは明確です。その差が音にどれくらい違いとなるのだろうか。MuBoxとはどう違うのか。興味がつきないところです。
Volumioの機能は、ローカルネットワークにあるライブラリのファイルからロスレスな完全な再生をすることに尽きる。しかしながら同時にWebラジオだとかAirPlayを使えたり、WebのUIからすべての機能を扱えたりと気が利いている。これは、世界中の開発者たちから素晴らしいコードを提供して、一種のエコシステムが出来上がっているから成し得ることだ。フリーでコードを提供すればこそ、別の技術者がそのコードを見てグレードアップしたりデバッグしたり、また、次の世代の開発者を教育することとなり、刺激することができる。感謝にたえない。このプロジェクトでは、活用できる面白いプラットフォームを選び、そのプラットフォームごとに特化してVolumioをカスタマイズしている。自分に一番都合のいいプラットフォームを選べ、自分だけのハイファイデジタルオーディオシステムを構築して楽める。したがって、今物足りないことがあってもどんどん進化していくことが期待される。
インストール
CuBox-iでは、CuBoxの時とは異なり、PCホストの上でダウンロードしてきたイメージをSDカードに書き込んで行う。シンプルすぎて解説の隙もない。書き込み(フラッシュ)は、PC,Mac,Linuxいずれでも可能。
http://volumio.org/volumio-cubox-i-released/
準備できたSDをCuBox-iに挿し、イーサネットケーブルを接続したら電源をいれます。
サーバーソフトなのでHDMIをTVに接続してもコンソール画面しか見ることはできません。
USB オーディオデバイス、SPDIFに光ケーブル、どちらもサポートされている。
操作画面と機能
起動後、同じネットワークに接続されたマシン上のウェブブラウザから、
とアクセスすることでUI画面にアクセスできます。
(bonjourがない場合は、CuBox-iが割り当てられたIPアドレスからでもアクセス可能)
設定をしていて、何か不都合があるときは、コンソールからの操作となる。デフォルトのID/パスワードは root / volumio となっている。なお、コンソールはHDMI経由の画面で操作できるので、CuBox-iにKBをつければそれでよい。sambaのNASの設定でタコることはないが、Windowsの共有環境ではトラブルがあってマウントされないことがあるとRPIでは報告されている。もし不幸にもそのような状況に出くわしたらネット検索して参考にすると助かるかもしれない。
メインの画面
とてもシンプルな画面です。右上のボタンからプルダウンメニューが出てきます。
(上がiPhoneから接続した画面、下がPCのブラウザの画面。以下同じ)
システムメニュー
ハードウェアのコンフィグレーション
ネットワークメニュー
NASの設定はここから。ちゃんとマウントされるとグリーンのチェックがつく。上手くいかなかったら赤のXがつく。
プレイリスト
今回Volumioを初めて触ってみて、正直驚きでした。なめてました。
これほどに完成度の高いものとは想像してませんでした。脱帽です。
音が、何か安定感があって濃い感じがするのです。音だけをブラインドテストしたとしても、こんなチビのCuBox-iのシステムです、なんて思わないだろうなというのが感想です。インストールが終わってテスト視聴をしながらしばらく聞き惚れてしまいました。
クライアント側の使いよさもすばらしい。ネットワーク設定などに疎い方にも親切かどうか分かりませんが、NASなどが余りにも簡単にできてしまうのです。外付けのUSB DACなども名前が表示されてきて選択できるようになっています。
専用のクライアントソフトが今後出てくるかもしれませんが、ウェブベースの操作をスマホから行う今のものでも十分ともいえます。
(旧)CuBox PRO + Voyage MuBox と Cubox-i4Pro + Volumioでは総合的に後者に軍配をあげそうです。(実際の所、音に関しては曲にもよるので、どちらが圧倒的にいいとかは判断が難しいです。でも逆にいうと、Volumioのレベルがそれほどに高いとも言えます)
気に入りました。